副作用がまったくない抗菌薬は存在しない

感染症の治療で抗菌薬を使用する場合、抗菌活性、体内動態を考えて抗菌薬を選択し、適切な投与法で患者に投与すれば感染症は治すことになる。しかし、もう一つ重要な要因を確認する必要がある。それは、選択された抗菌薬の安全性である。

いかに優れた抗菌薬を使用し、感染症が治したとしても、投与した抗菌薬の副作用が発症すれば、抗菌薬の選択が正しかったとはいいがたい。確かに、抗菌薬はひとの生体内に存在しない成分であるため、どの抗菌薬をみても、副作用がまったくない薬剤は存在しない。そのため、抗菌薬を処方するときには、副作用が発症することもある程度予測して対処することが必要となる。
抗菌薬の副作用は、個々の薬剤によってその内容も発見頻度も異なっているが、系統別に頻度の高い副作用は確認し、その系統の抗菌薬を感染症の治療に投与するときには、そのような副作用の出現に十分に注意を払う必要がある。また、抗菌薬の副作用は、投与量に依存して発見するものと、依存せずに発見するものがある。たとえばペニリシンアレルギーによるショックは、投与されたペニリシン系薬の投与量に依存するものでなく、ごく少量でも患者の血中に薬剤が存在すれば発症することになる。このような濃度非依存性の副作用の発見を防ぐことは、実際には不可能である。もちろん抗菌薬を投与する

以前に、これまでの薬物アレルギー歴などを問診から確認しておくことが必要であるが、初めてその患者に投与する抗菌薬であれば、そのようなアレルギー歴はほとんど役に立たない。そのため、濃度非依存的な副作用発見の可能性のある抗菌薬を投与するときに、そのような副作用を自覚した場合には、直ちに服薬を中止するように的確に指示し、またショックなどの副作用が発見しても、その後の対処が適切に実施できる環境を整えておくことが大切であり、投与前には,添付対象から副作用の有無と、発見頻度を確認しておくことが重要である。

➡抗菌薬は臨床開発されるときに、臨床治験を行い副作用の種類やその発見率などが確認され承認される。しかし、最近承認された抗菌薬の中には一般に臨床使用されてから新たな副作用が発見されるものも多い。そのため、新薬に関してはその副作用が十分に確認されるまでは、慎重に投与すべきであり、また新たに確認された副作用は直ちに把握することが大切である。